皆さんこんにちは。
数年前に人気になった「嫌われる勇気」を読みました。
悩みを抱える青年と哲人と呼ばれるアドラー心理学を学んでいる人の対話形式で進むこの本は、読みやすさもさることながら面白い考えがたくさんあり、とても勉強になりました。
アドラー心理学を説明した嫌われる勇気を読んでの感想を述べていきたいと思います。
アドラー心理学とは
アドラー心理学とは一言でいえば「自分を変える心理学」です。
「個人心理学」とも呼ばれ、個人の勇気づけを目的としています。
読んでいるうちに、自分自身を変えることの難しさや勇気を出すことの難しさが説明されていきます。
この本のおすすめ点
とにかく読みやすい
前述した通り、2人の登場人物の対話形式で進んでいくのでさらさら読めます。それでいて心理学の思想が分かりやすく頭に入ってくるので飽きることなく一気に読めます。
対人関係で悩みを抱えている人のための本
アドラー心理学が”すべての悩みは対人関係にある”と言い切っているのでこうした悩みを持っている人が読めば新しい観点を手に入れられるかと思います。
以下に、この本にどのようなことが書かれているのかまとめてみました。
過去に焦点を当ててもしょうがない
アドラー心理学では、現在あなたがどうしてそうなったのかを知るために過去を参照したりはしません。
例えばこの本の中ではこう言っています。
トラウマなんていうものはない
こんなふうにとても厳しい言い方をしています。
トラウマはその人が自分の過去の出来事にそういった悪い意味を与えているだけだというのです。
人は過去のトラウマが理由で行動ができないのだと思い込んでいますがそうではなく、そうやってトラウマを作り出しておけばその人にとって都合がよいからそうしているのだと。
人生が上手くいかない理由を自分で作り出せば人生に言い訳をする余地を残しておけるのだというのです。
すごいですよね、この言い切りは。読んでてキツイなあと思いました。
自分にも当てはまる点があったので心にきました。
アドラー心理学ではそういった過去の出来事に目を向けても何も変わらないと言います。
そう思い込んでいる現在の自分を変えなければいけないのだと。
しかしそうは言っても人はなかなか過去を吹っ切ることはできませんよね。なかなか自分を変えるというのは難しいですし、根性でどうにかなるものでもないかもしれません。
ここで必要になるのが勇気だとアドラー心理学は言います。
この勇気という言葉はこれから何度も出てきます。
アドラー心理学と似た考えを持つREBT(認知行動療法)
アドラー心理学ではありませんが、この自分の考え方を変えるという面でよく似た考え方に
REBT(認知行動療法)というものがあります。
過去の出来事に対する自分の考え方を論理的に説明し、変えていくという方法です。
こちらの方がより具体的に問題を解決できるのではないかと思います。
個別に記事を書いていますのでもしよろしければそちらもご覧下さい。
他者の評価(未来)に期待はしない
本の中で悩みを抱える青年は人の顔色ばかりを気にしていることを気にしています。
しかし、哲人はそういったことを気にしていても自分にはどうすることもできないと諭します。
誰からも嫌われずに生きていくことは不可能だと。
ではどうすればいいのか、それは嫌われる勇気を持つことであるとアドラーは言います。
嫌われるようなことをしろということではなく、嫌われることを怖れるなという意味です。
もし他者の視線や評価が気になり、身動きが取れないようならば自分自身を変えなくては自由にはなれません。
その結果他人がどのように思おうが、結局は他人次第だし自分の問題ではないのです。
そうは言っても、やっぱりなかなか考えを変えることは難しいですよね。
実際には難しい
これも言いたいことは分かりますが実践が難しいです。私もこの指南を極端に受け取ってただの嫌な人になってしまいそうで踏み出すことができません。仕事の上司など嫌われると日々の生活に不都合が生じることも多々あるでしょう。
しかし、幸せになるために仕事をするのが前提であり、他人の評価の結果自分の生活が脅かされるようならば転職も一つの手であるといいます。
軽々しく転職せよなどと言われてもそう簡単にはいかないでしょう。ここでも必要とされるのは勇気です。
自分の幸せのために行動に移せるか否か、人生の主役を自分にできるか。それが叶えられるのならば転職は必要ありません。
いまの私(現在)を受け入れる
ここまで読んでいただいた方は、アドラー心理学がとても厳しく孤独なものに見える人もいらっしゃるかと思います。
トラウマは自分が過去の出来事に理由をつけてそう思いこんでいるだけ、他者からどう思われようともそんなもの関係ない。嫌われる勇気を持つことが大切だ。
こう書くとそう思えるかもしれません。ですがこれはすべて”自分の人生を生きる”ために必要不可欠なものです。
結局人生で考えなければいけないのは私自身であり現在(いま)です。
今が幸せならばそれでいいのです。過去が不幸なものだと思っていようともうどうすることもできませんし、未来がどうなるかを考えてもそれは誰にも分かりません。
では具体的にどうすれば現在が幸せになるのか。
現在を幸せに生きるために必要なことは現状の自分に満足することです。
そのために必要なことは他者からではなく自分で自分を認めてあげることだとアドラーは言っています。
他者からの承認を求めることは、知らないうちに見返りをも求めているというのです。
それは他者の期待(未来)にかかずらうことになります。
ではどうすれば自分で自分を認めることができるのか。
皆さん薄々分かっているかもしれませんが、これも勇気です。
またかよと言われるかもしれません。そんなのできたらそうしてるとも思うでしょう。
でもその簡単なことがとても難しいんです。
自分を変えるというのは苦しく、痛みを伴います。だから人は他人や環境に変化を求めてしまいます。
でもそうして変化を望むのではなく、自らが変わっていくためにはどうすればいいのかを考えなくてはいけません。
自分を変えるというのは環境だろうが内面だろうが、非常に苦しく大変なのです。自分が幸せになるために何が必要かを自問自答し、行動を起こす。そのための勇気を育むのがアドラー心理学です。
まとめ
自分ではなく、世界を変えることは難しいどころではなくほとんど不可能です。
また、他者を変えるというのも、限りなく不可能であることが分かります。
結局は自分を変えるしかない。それはとてつもなく難しい。でもそれは決して不可能ではない。勇気を出すことができるのならば。
この本を要約するとこんな感じでしょう。
今回私はこの本のごく一部を紹介したつもりです。
今回は過去、未来、現在の3つに分けて紹介しましたが、切り口を変えればいくらでも違った書き方ができます。
そしてこの本のすべてを支持しているわけでもありません。ふーんと聞き流しているところもあります。
それでもこの本には、アドラー心理学には斬新な考え方がたくさん詰まっています。
自身の見解を広めるためにも一度は読んでみることをおすすめします。