「ぼくらはそれでも肉を食う」は動物と人間の関係について再確認できる素晴らしい本

ぼくらはそれでも肉を食う

こんにちは。

皆さんは肉を食べますか? ペットと共に生活したことは?

私は両方Yesです。恐らく私と同じ方は比率的に多いのだと思います。

今回紹介する「ぼくらはそれでも肉を食う」は、動物倫理学という学問を研究している

ハロルグ・ハーツォグという方が、動物と人間の関係についてを研究者の視点から捉えた本です。

読んでみると、ためになると同時に考えさせられざるをえないとても良い本でした。

ペットと私たち人間の関係

子犬

ノミに比べればイヌの方が感情移入しやすい

エリック・グリーン

私たち人間が動物に対して慈しみを持てるかは、その動物が”可愛いか”に大きく左右されるとこの本では述べられています。

確かにゴキブリの権利を主張する団体があったとしても私は多分興味を持てないでしょう。

活動内容自体には興味を持ちそうですが。

他にも様々な問いを読者に投げかけてきます。例えば……

保健所で殺処分される子ネコをペットショップのヘビの餌にするのはいいか悪いか

飼っていたイヌが交通事故に遭って死んでしまった場合、その肉をバーベキューの具にするのはOKか

こういった心をざわつかせるような例えが色々と出てくるので、その都度自分の中にある

考えが浮き彫りになってきて考えさせられました。

科学の発展のためにハツカネズミを犠牲にするのは許されるのか

ネズミ

研究プログラムを評価するにあたって、ネズミの苦痛が人間の苦痛と同じくらい重要ならば、以下のどちらかの結論に到達せざるをえない。

(1)人間もネズミも権利などもっていない、あるいは

(2)ネズミは人間が持つのとまったく同じだけの権利を持つ。

どちらの選択肢も馬鹿げている。

カール・コーエン

実験に出てくる動物として有名なものにネズミがあります。この本の中では、動物実験とネズミの関係、行われている実験の数々などが研究者の著者の実体験から詳しく語られています。

それによれば、アメリカには実験に使用するネズミを作り出すための研究所があり

年間2500万匹が生産されています。

実験のために耳を聞こえなくしたり、嗅覚をなくすために鼻に腐食性の薬品を注射したり、苦痛に対する反応を見るためにお腹の中に酢酸溶液を注射されたりしているそうです。

こうして書くと人間がネズミに対してとてつもなくひどい仕打ちをしているのが分かります。

しかし、この実験で得られたデータは間違いなく私たち人間の役に立っているのです。

そして、同じことをイヌにしたならばふざけるなと思ってしまいます。でも、ネズミもイヌも動物に変わりはありません。

人間がその動物をどんな風に思っているのか、ただそれだけでこんなにも扱いは変わってしまうということに軽くショックを受けました。

菜食主義者は”正しい”人たちなのか

ベジタリアン

せせら笑いはやめよう。あらゆる文化や時代から得られる、もっとも普遍的なアドバイスのひとつは、われわれはみんな偽善者であり、他人の偽善を糾弾すれば、それは単に自らの偽善ぶりを悪化させるだけだということなのだから。

ジョナサン・ハイト

世界には、菜食主義者や動物の正当な権利を主張するために尽力する人々がいます。

そういった人たちにとって、動物の肉を食べたり、動物から剥ぎ取った毛皮を自身のファッションのために着るというのは考えられないことです。

しかし、これは絶対的に正しい道徳的な真実なのでしょうか。

当著には、そういった人それぞれの道徳観をたくさんのケースを用いて紹介し

正しい道徳とは何なのか、そういったものに苛まれたときに人はどうやって考え、そして生きていけばいいのかが書かれています。

この本の素晴らしいところは、菜食主義者と肉を食べる人々のどちらがより”良い”のか

といった話にはならず、中立の立場を貫いている点です。

ベジタリアンの人たちにも肉を食べる人たちにもそれぞれの道徳観があり、何が正しいかを決めるということは多分不可能でしょう。

私は焼肉が大好きです、おいしいから。一方で、動物が理不尽に殺されているのを見ると許せないと感じます。

なら日々私たちの食卓に並んでいる動物たちも人間によって理不尽に殺されているのと同じなんじゃないか。だったらそんなことはしちゃいけないと頭の中では考えます。

でも私がそう感じて肉を食べるのをやめたとしても殺される動物が減るわけじゃない。

だから肉は食べてもいい? いやでも……

考えたところでこれが正しいと思うようなものは出てきません。それに私には今から野菜だけを食べる食生活に切り替える決断力も忍耐もないのです。恥ずかしいことに。

まとめ

自分の中の動物に対する倫理観、道徳とは何か。この本はそういったことを再確認させてくれる1冊です。

読めばあなたの中にある動物に対しての考えが大きく揺さぶられると思います。

食べるものに困ることなく、ペットが家族として受け入れられることが当然になった現在だからこそ、今一度動物に対して深く考えることが必要なのではないでしょうか。

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